2018年、私は舞台「流れる雲よ」の役作りのために訪れたのをきっかけに、徳之島と出逢いました。
それまで縁も所縁もなかった島でしたが、出会った島の方々皆さんに温かく迎えていただき、豊かな自然に囲まれ、「ユイの精神」が息づく徳之島にすっかり魅了されました。

その舞台で私は特攻隊員の妻の役を演じました。その夫役のモデルとなった特攻隊員が、徳之島出身であることを知り、その方が残された本物の遺書と巡り会うことができました。

役作りのため訪れた当時、島の方々の中には、徳之島と特攻隊の関わりについてあまり知らない方も多く、『恵理ちゃんが来てくれたおかげで勉強になった』という声や『徳之島でもこの舞台をやってほしいな』といった声を多くいただきました。さらに、そのモデルとなった方には実際には妻はいらっしゃらなかったとこのとで、『未来にこんな奥さんができてよかった』と涙を流されたご親族の姿は、今でも心に深く焼きついています。

あれから7年という月日が流れましたが、感謝と平和への祈りを胸に、戦後80年となる今年こそ、徳之島でこの舞台を実現させたいと強く願っています。

徳之島だけでなく、きっかけさえあれば人はつながり、縁も所縁もなかった土地から、こんなにも素敵な人間関係が生まれるということを、私は身をもって感じました。
この企画を通じてご縁が広がり、平和な未来への架け橋となることができれば、こんなに幸せなことはありません。

徳之島天城町公演発起人
俳優 池田 恵理